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2009年(第11回)

【特別賞】
“かんきょうのじかん”で日本は世界をリードする
沖縄工業高等専門学校 生物資源工学科5年
喜舎場千尋
喜舎場千尋

1.私たちは環境問題をブームで終わらせるのか
 “エコ”がブームである。買い物に行けばマイバック、テレビをつければ「環境に優しい」と謳っているコマーシャル、街ではハイブリッド車を多く見かけるようになった。私たちの周りはエコで溢れている。これだけエコが身近になったのは、近年の特徴ではないだろうか。また、メディアには“エコブーム”という言葉も登場している。この言葉からもわかるように、エコは今最大の流行なのだ。ここまで流行になったのは、世界的な環境問題が発端となっている。私たちが一番耳にする地球温暖化をはじめ、オゾンホール、異常気象、酸性雨、沖縄に至っては土壌流出によるサンゴの白化が深刻である。これらは人間の生活に影響が出る問題であって、問題の大きさや深刻さによっては人類滅亡の危険もある。環境問題は私たち、子供、孫、その次の世代まで人類を存続させるために解決しなければならない。
 エコブームはいつまで続くだろうか。環境問題の中には100年単位で考えなければならないものもある。数年の流行で終わってしまっては何の意味もない。しかし残念ながら私たちはすぐに飽きてしまうという性質を持っている。ゆえに、エコをブームにはしたくない。これはエコをやめるのではなく、エコを当たり前にしたいという意味である。節水、節電、ごみの削減、全てにおいて無意識にできるようになれば後々必ず効果が現れるのではないか。
 もう一つ、エコブームの落とし穴がある。ブームだからといって本当にエコ、すなわち環境保全や負担低減につながるのかを一人ひとりが理解しているのか。答えはノーである。7月に実施されたエコポイント制度は省エネ家電への買い替えを促進するものである。確かに新製品のほうが電力消費は少ないし、この制度は経済対策も兼ねているので否定はしない。しかし、ニュース番組でこんな放送をしていた。ある一般家庭がエコポイント開始に伴い、ブラウン管から液晶テレビへ買い換えた。しかし、使用電力を測定してみると液晶テレビの消費電力のほうが大きかった。なぜなら、エコポイントで安くなった分、少し大きな型のテレビを購入したからである。購入者は電気代も浮くだろうと期待していたが、結果的に負担を大きくしてしまった。このように、エコだと思っていることが実は負担を大きくしていることは案外多い。それは消費者が正しい知識を持っておらず、メディアに踊らされているからだと考える。
 環境問題は非常に奥が深い。一般家庭のゴミから国の経済発展のための産業まで、視野はいくらでも狭められるし、逆に広げられる。しかも全ての問題はどこかで繋がっている。 例えば地球温暖化というとても大きなテーマを、こまめに電気を消す、という一人でできるような小さなスケールで捉えることも可能である。環境問題を解決するには視野を自由に操作できる力をつけなければならない。

2.エコをブームで終わらせないために
 では、視野を自由に操作できる力はどのようにつけるのだろうか。私は本質を知り、 理解することだと思っている。なぜ地球温暖化は起こっているのか?その現象は本当だろ うか?何が原因だろうか?これらを理解して初めて自分なりの意見を持つことができるし、 正しい判断ができる。それはメディアに左右されない考えを持つことにつながる。また、 一人ひとりが環境に対する正しい知識を持てば、エコもブームでなくなるはずだ。地球温 暖化の要因に二酸化炭素があり、それは私たちの生活で減らすことが可能で、減らすには どうしたらいいか、温暖化が進むとどうなるか。これらを理解していればエコは当然にな ると考える。

3.小学校に新しい時間割を 〜かんきょうのじかん〜
 メディアに踊らされないエコに対する正しい知識を身につけるには、やはり幼少期からの習慣や教育が大事だと考える。現在、小学校の環境問題の教育に対する取り組みは、総合もしくは生活家庭という時間割の中で行われているが、これは学校や地域によって内容にばらつきがある。特に総合は、地域の伝統行事などを取り上げる場合も多く、学校の方針によって授業内容は多種多様である。つまり完全に環境問題のみを扱う時間割は現在の小学校教育にはないのだ。そこで、小学校低学年から学ぶ“かんきょうのじかん”という新しい時間割を作ってはどうだろうか。時間割に組み込むことで、少なくとも義務教育の間の9年間は継続して環境問題を学ぶことができ、体系的な学習が可能となる。
 かんきょうのじかんは、理科の延長にならないような内容にする。環境問題は理科の知識だけでなく、社会や道徳の知識も必要だからである。単に牛乳パックのリサイクル方法を学ぶのでなく、どのくらい牛乳パックが回収されているのか、リサイクルされず燃やされてしまったらどうなるかなど、なぜリサイクルするのかを理解させる。このように環境問題を軸にし、化学的、政治的、そして実生活に生かすには、など様々な角度からそれを捉えていくようにする。これこそ、本質を見抜く力を養うことにつながるのではないだろうか。

4.かんきょうのじかんは日本の将来を明るくする
 小学校から体系的に環境問題を学ぶメリットは、やはり環境問題に対しての知識がとても深く、広くなることである。先ほども述べたように、環境問題はとても複雑で、単なるエコという言葉だけでは片付けられないほど大きな問題だ。しかも国際的に大きな注目の的となっている。それは政治であったり、技術であったり、人々の暮らし方であったり、環境問題を解決するなら何でもウェルカムなご時勢である。とても大きな問題である分、解決策が確立されるまでに時間がかかるのは必須だが、逆に言えば長く注目を浴びることになる。そこに日本の科学技術を活かすのである。例えば、全国民が小学校から環境問題に対する教育を受けたとする。すると、問題に対して最低の知識は誰もが持っていることになる。本質を見抜く力がある国民は、本当に環境負荷が低減されているのか、惑わされることはないだろう。よって企業も政治も、より真剣にエコに取り組むことになる。その技術を、世界に発信するのである。いわば全国民の知識の底上げは、より高度な技術を生むと私は考えている。日本人が生み出す技術は、過去の例を見ても世界的に評価が高い。新たな技術で世界をリードできる素質は十分にある。私が提案する小学校からの環境教育、かんきょうのじかんは日本の将来を明るくするのだ。

【参考URL】

環境省 総合環境政策課 http://www.env.go.jp/policy/edu/