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2009年(第11回)

【入賞】
アイディアの宝石と輝く未来
熊本高等専門学校 電子制御工学科 3年
森 琢磨

<アイディアの原石達>
 「もったいない」エコブームにより節水・節電など良く耳にする。では現在無駄にしているのは資源のみか。私はアイディアを無駄にしていると思う。アイディアが「もったいない」とは何なのか、多くの人が疑問に思うだろう。私たちの日常生活には様々なところにアイディアの原石が転がっている。「こんなものがあったらなぁ」「こうすればもっと便利になるのに」「これは不便だ」・・・ふと思いつくこれらすべてがアイディアの原石である。しかし、日本人の大半はそれを光らせることができないとあきらめている。一方、日本の技術を引っ張っている一握りの「理系人間」は、今までにないアイディアを欲している。このように,需要と供給が均衡していることは明らかである。にも関わらず、全ての人のそばに散らばっているアイディアの原石を誰も拾おうとしない。そこでこの橋渡しをするために「iグリン」を思いついたのである。

<idea grinder「iグリン」の概要>
  「iグリン」とは、ideaのi、研磨を表すgrinderからグリンをとって名づけた。簡単に言えば、アイディアを集め、磨くための場所である。ふと思いついた瞬間にメモのように投稿する。集まったアイディアをカテゴリーで整理する。アイディアを求める企業が探す。という仕組みである。アイディアは老若男女、理系文系問わずに誰もが持っている。ふと思いついたアイディアの原石を、誰もが手軽に宝石にできるためにiグリンは手軽さを特徴としている。
 具体的には携帯端末のアプリケーションが適役ではないかと考える。内閣府の消費動向 調査によると、2009年3月時点で携帯電話は90.2%という普及率を誇り※1)、何より場所や時間を選ばずにいつでも気軽に利用することができる。日常生活でなにをしていても、ふと思いついたアイディアを無駄にしないように簡単に形にすることができる。これも携帯電話を端末として利用する最大の利点である。また、携帯電話の動画・画像機能を使うことで、より分かりやすくアイディアを形に残しておくことができる。アプリケーションの具体的な機能として、企業側が募集をかけることができると,よりピンポイントにアイディアと企業が繋がることができる。
 このiグリンが実現するために、携帯会社・アイディアを必要とする企業・アイディアを 持った全ての人々。この3つの関係がうまく循環していくことが重要だと考える。 まず、iグリン利用の1例を紹介する。投稿者はアイディアをアピールする簡単な題名をつけ、詳しい内容を本文として投稿する。その題名を見て企業が求めるアイディアを見つけたとしよう。ここで、本文を見るためにお金を払うことになる。そのお金の一部は携帯会社に、残りは投稿者に支払われる。投稿者には、企業の情報も強制的に届くようにする。すると、貴重なアイディアの盗用を防ぐことができ、企業の情報も得られる。企業側にもある程度の投稿者の情報を渡すことにより、今後そのアイディアを実現していくことに投稿者のアイディアをより盛り込めるのである。また、全ての人々にアイディア端末を知ってもらうために、携帯電話にプリインストールすれば良いと考える。これにより、アイディアの発掘が活発に行われるであろう。
 ここまでのギブアンドテイクを整理する。携帯会社はアプリを提供し、お金を受け取る。企業はお金を提供し、アイディア・有能な人材を獲得する。投稿者はアイディアを提供し、お金・就職のチャンスを手に入れる。このように、見事に互いの利益が一致し、単価を小さくすることで、より手軽に活発に利用されるようになる。有能な人材が手軽に認められ、就職難が改善する。経済が活発になり、景気回復の大きなきっかけとなる。活発になった企業や人々はまた新たな斬新なアイディアを求める。間違いなく良いサイクルで日本は循環していくだろう。

<「iグリン」が照らす未来>
 まず初めに、未来の日本の科学を考えるうえで問題となっている理系離れを解消できる。 現在日本の子供たちの理系離れは深刻で、その理由として挙げられるものが二つある。 一つは、チルドレンズ・エクスプレスによると、海外の先進国に比べて日本は「理系・文系を早くに差別化しすぎている。」と言われることについてである。※2)また急かされた中で中学高校と進んでいくうちに理系・文系のどちらかを選ぶことを迫られたとき、文系を選んでおいた方が将来たくさんの選択肢があるということも挙げられる。つまり、現在高校まで進んでも「やりたいことが分からない。とりあえず文系に。」という考えが芽生えてしまっている。これには、小さい頃から科学の楽しさに出会っていないことが理由として考えられる。iグリンには年齢制限などなく、むしろ幼いからこその常識にとらわれない発想が重要である。小さい頃から何気ない発想が手軽に評価されることで、科学に興味を持つ子供が増えることは間違いない。文系が得意であっても、ふと思いついたことをアイディア端末に投稿することで自然と科学と触れ合うことができ、文系の道を学びながら理系への楽しさを見出すこともあるだろう。
 二つ目に、理科・算数は面倒くさい。つまり理系は難しくて、面倒である。という間違った考えである。科学はもっと夢のある,楽しいものであると知ってもらわなければならない。その点iグリンでは誰もが手軽にアイディアを実現させるチャンスを与えられる。科学に夢をもってもらえる入り口となるだろう。
 また、雇用問題も解決すると考える。近年の景気の悪化により、有効求人倍率は0.3倍から0.5倍と以前回復の兆しは見えない。※3)戦後他国にはない目覚しい発展をとげた日本。その軸は技術力であった。現在ではその勢いも中国などの新興国に追いつかれつつある。そんな今だからこそ、もう一度科学技術を軸にして日本を盛り上げていくべきなのである。iグリンが普及すると、いままでにない多くの視点からの斬新なアイディアが集まり、新たな技術が発展していくであろう。また,発案者と企業の結びつきが生まれ、企業は優れた人材を獲得しやすくなり、被雇用者にとっても絶好のアピールの場となるのである。そこで、常識にとらわれない発案者と、その道のプロフェッショナルである企業が結びつき、誰もが発明家となることができ、科学技術に夢を与え、クリエイトする喜びを多くの人に知ってもらえるのである。

<アイディアの宝石達>

 iグリンが普及することで、アイディアの原石達を誰もが輝かせることができる。素人の柔軟な発想が、玄人の技術力で研磨され、たくさんの発明の宝石になる。これにより、日本の未来を考えたときに不安であった、子供の理系離れ、雇用問題、景気低迷などを解決できる。日本の未来はたくさんのアイディアの宝石で輝いているに違いない。

【参考文献】
1)

内閣府 消費動向調査 ウェブページ 携帯電話の普及率について
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

2)

Children's Express ウェブページ 理系文系について
http://www.cenews-japan.org/news/zadan/080401_rikei.html

3)

NIKKEI NET ウェブページ 有効求人倍率について
http://www.nikkei.co.jp/keiki/shitugy/