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2009年(第11回)

【入賞】
美容から見つける科学の魅力
群馬工業高等専門学校 物質工学科 2年
岡田 百恵

1.はじめに
 世界中の国々の中でも日本人の女性は美意識が高いことで知られている。私は独自のナノ技術を使ったある会社に興味を持ち、調べてみた。写真のフイルムで知られる富士フイルムという会社は2006年に機能性化粧品などの開発に手を出し始め、今では日本の女性が最も注目する化粧品会社になりつつある。私はフイルム会社が化粧品事業に参入したことに驚き、また科学的な化粧品に強い関心を持った。元々化粧品を研究する事に興味を持ち、高専に入った私は、科学によって成せる美容を人々に伝える事で多くの人々の科学への興味を高められるのではないかと考えた。

2.富士フイルムの化粧品
  まず、私が興味を持った化粧品、ASTALIFTについて説明したい。富士フイルムは、甲殻類などからとれる天然の色素アスタキサンチンをより効果的に肌に浸透させるために、今までの化粧品に使われていたナノ技術とは違った新ナノ技術を制作に導入した。それは富士フイルム独自のもので、10層ものコラーゲン膜を作り、光に反応し色を作るナノ粒子を使って いる写真フイルムの技術から活かされたものだ。他にも、ナノ化した極小でやわらかい粒、アスタキサンチンを壊れにくい膜で包み込むことによって肌に浸透しやすい形状を保つ技術や、肌の老化現象を、カラー写真プリントに起こる色褪せと同じに考え、紫外線からの酸化現象を防ぐ、抗酸化テクノロジーなど、従来の化粧品とは違った視点からの技術で商品を開発している(注1)

3.誤解されるカガク
 私も、私の家族もそうだが、人はカガクという言葉よりも、自然という言葉の方が最良と思いがちである。化粧品でなくても、「自然派」という言葉に魅力を感じる人は多いだろう。確かに化学物質の含まれているものが必ずしも良いとは言えないが、科学技術によって人間の体に安全なものを作れることは確かなことだ。例えば、先に紹介した富士フイルムの化粧品であっても、フイルムと聞くだけで身体に悪そうなニュアンスを受ける人はいるはずだ。しかし、それは「化学物質などの身体に悪いものが入っている」という考えであって、実際の「科学技術で身体に安全なものを作る」のカガク違いなのだ。
 また、裏を返せば、科学技術あっての自然派化粧品だ。自然のものがあるだけでは一般販売できるような安全な化粧品を作るのは難しいだろう。無菌作業など、使用する人に安全を保障できる。そんな優しさを持った科学への誤解、偏見をなくしてほしい。人に優しい科学のあり方を化粧品という媒体を通して追求していけば、興味を持つ人はたくさんいるだろう。

4.環境づくりの大切さ

 もし、自分の好きなもの、興味があることを仕事にできたら楽しく働けるだろう。現在の女性のほとんどは美容に興味があるだろう。女性に限らず男性の美容に関する商品も出ている。そんな中で、どうしたら美容と科学をつなげ、興味を持ってくれるのか。私はもっと簡単に若い頃から科学の道に進める環境を作ることが大切だと思う。世界には、化粧品として出来上がったものを使用し、勉強する場所は多くある。ところが、化粧品を一から考え、制作する技術、過程を学ぶ環境は少なく思える。自分が欲しい、使いたいと思える商品を作るのは、簡単ではないが、やりがいがある仕事になるはずだ。そんな素晴らしい仕事に成り得る科学への道を堅苦しく閉ざすのではなく、もっと早期に受け入れられる環境づくり進めていくべきだと私は考える。

5.美容から見つける科学の魅力

 これまで述べてきたように、美容に関心のある人は多く、自分を美しく見せたいという感情は、今や女性に限らず男性にもあるものとなっている。人間にとって美容はもはや必要不可欠なものといっても過言ではない。私は美容を支える多くの化粧品開発の現状を調べる中で、科学の持つ力の大きさを痛感した。人間の皮膚と、フイルムの構造を科学的に分析し、化粧品に応用する技術はまさに科学の可能性を感じさせるものであった。おそらく科学技術の進歩はこれらの開発に留まることなく更なる発展を遂げることであろう。
  しかしながら、科学の進歩にふれる環境の整備は先に述べたとおり不十分な面がまだまだ多い。今後、環境が整備され、美容と科学を関係づけた学びの場が提供されれば、美容に関心をもつ若い人々が科学の魅力に気づく可能性も多くなるはずである。科学離れが言われて久しい世の中ではあるが、多くの人々が感心を持つ美容という側面から科学を見つめ直す機会を増やせば、改めて科学の魅力に気づく人々も増えることだろう。

【注】
1)

このサイトを参考にし、更に詳しい事はこのサイトに記載されている。
「富士フイルム ASTALIFT」 http://www.ffhc.jp/astalift.html(閲覧日:2009.12.9)


【参考文献】
1)

「富士フイルム ASTALIFT」http://www.ffhc.jp/astalift.html(閲覧日:2009.12.9)

2)

フリー百科事典「アスタキサンチン
(閲覧日:2009.9.14)