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2008年(第10回)

【特別賞】
つながりを科学で実感すること
宮崎大学大学院 工学研究科・物質環境化学専攻 修士1年
甲斐 七奈美

 私たちは自分自身が何とつながっているのか知る必要がある。見えないものをいつも考えなければいけないと思う。もっとつながりが見えたらいい。
 私たちは広い地球の中の一部であり、長い歴史の一部だということも目で見えるというわけではないし、そのことを実感することはあまりない。自分の存在の大きさやこの瞬間この場所に存在することの奇跡を味わうことを科学的に感じることはできないであろうか。
 人は同じものを見てもそれぞれ異なる感じ方をする。その感じた気持ちを言葉にできないときや表現できない時もあるだろう。その人の感じた気持ちを香りによって発信できて、人の感じ方を知ることができたら面白いと思う。一人一人が何を喜びとし何を価値観として生きているかは計り知れないし、自分が何のために生まれてきたか何をしたいのか何を残せるのかわからなくて不安で一人きりになる人たちも多いと思う。人の気持ちを香りとして表現できたら、同じものを見て同じ香りを発する人を見つけて喜びを感じ合えて新たなつながりを見つけ出せるかもしれない。気持ちによって変わる香りから自分自身の気持ちを理解し、自分の弱さや温かさを認めることにつながり、苦しんでいる人の痛みの香りを見つけて早く助けることができるのではないか。人に言えない苦しみを持つ人や表現することに不器用な私たちがユーモラスな科学技術で自分を示し、表現を楽しみ、分かち合えることができたら、やわらかな安心感が生まれるのではないだろうか。それを実現するには、気分によって唾液の量が変わることや体調によって何らかの変化はあるので、その変化を利用して、香りに変える飴や薬をつくれると思う。

 また、科学技術の進歩で人々の生活はかなり便利になった。その便利さを実感するには今までどれだけ不便だったのか、どのようなルーツでどのような過程でここまで便利になったのかを知らないということはもったいないと思う。どんなに小さなものだって歴史があり、逆にずっと同じ形のものはどれくらいあるのか。溢れすぎて物足りないと感じる現代だから、ルーツをもっと身近に科学技術を使って示せたらいいのではないか。何もなかったころは新しいものがたくさん作られてそれを実感する楽しみがあった。これからもその歴史の余韻を感じて生きていき、私がここでこうして生きているのは、今までの歴史があり、現代のこのことにつながっているのだと感じることが一番大切なことだと思う。科学の進歩は大切なことであるが、もっと実感することに時間をかけて、そのことに価値を置くことを重視するべきなのだ。実感するためには科学の歴史や今の技術を知ることから始まる。インターネットや本でルーツを知ることはできるが調べることや覚えておくことは大変である。毎日簡単に実感できたらいいと思う。人はすぐに大切なことを忘れてしまうし、意識的に自ら動かないとデーターを得られないのではなく、自然とルーツが語りかけてくれる世界を作れないだろうか。それをロボットが喋ってくれるとか、ラジオのようにずっと発信してくれるとか、一つのものにセンサーをつけてセンサーに触れるとルーツを話し出すようなものがあっても面白いと思う。日常品がルーツを教えてくれる手段があったらいいと思う。最近は食べ物などの商品のパッケージのバーコードに携帯で触れると生産者が分かるという仕組みがある。生産者だけでなくルーツが表示されるようになったらいい。

 それから、たくさんのものを生み出した偉人たちの声を生で聞けたらすばらしいと思う。何事にも最初に生み出した人が居てそこには何の目的があったのか、それをできるだけ鮮明に受け継いでいかなければいけないと思う。また自分の住んでいる町を歩きながらここにはいっぱい緑があって、ここにはたくさんの生物が居たことなどが見えるようになれば、今の自然を最低限守っていかないと将来は当たり前に存在した生物がどんどん居なくなるかもしれないと日常で感じ、気付くことができるのではないか。歴史と現代が混同する未来があっても素敵だと思う。
 ルーツだけじゃなくて例えばある商品を売っている工場があって、その場所にモニターのようなものがあって、そこに商品を作る事に関わった人がずっと通信されて、商品の置いている場所にもモニターを置いて、消費者も自分の意思で喜びの声を伝えたりできるようにしてはどうか。映像から作り手と買い手の意思が伝わればいいと思う。しかもその場所でしか見られない特別なものを作るのだ。新しい価値と新しい場所が生まれる。企業も常に見られているという意識を持てる。食糧についても不安な時代にお互いが見えていることが一番分かりやすい。今の時代、子供たちや学生たちは将来の夢を描きにくいのではないか。世の中の一つ一つについてあまり知らないから、何に興味があるのか何をしたいのか見つけ出すのは難しいのだと思う。一つの商品にどれだけの人が関わっているか、どのような技術でそれが生まれたか知ることができたら夢を描きやすい世界になるのではなかろうか。そういうものが公園にもあっていいと思う。公園と別の公園をつなぐなどして、少子化の今たくさんの子供たちが遠くの友達と別々の公園で通信して遊ぶなど、小さなことからみんながつながっていて、犯罪も起きにくくなればいい。

 最先端を実感できる人はどれくらい居るのだろうか。少数のお金持ちが実感できる技術もいいけれどみんなが実感できる技術こそ増えなければいけないと思う。全体的なことではなくて些細なことを大切にする時代にしたい。全体的に景気が良くなるようにと平均の満足を上げるのではなくて、誰でも味わえる最低限の満足をより多く広げるべきである。自分だけの欲に走り続けても悲しいと思う。家族や自分の友達が苦しいのはほっとけなくなる。それはその人たちのことを知っていて情があるからである。だからみんなを知ればいい。知ろうとする人はどれだけいるのか。余裕がなくて自分のことしか考えない人の方が多いと思う。少しでも知ろうとする意欲を掻き立てるために科学が見える形として現れたら、人は正義感を持っている生き物だから、みんなの苦しみのために何かしなければと考える人はたくさん出てくると思う。科学でみんなを元気に平等に幸せにできると思う。

 最近は高くてもエコグッズを買う人が増えてきている。それは価値観が変わってきたからである。自分だけではなく将来の地球に対してきちんと考えている人が増えてきたからである。結局自分たちだけが幸せなことより、みんなが幸せであることに幸福を感じるという価値観なのだ。そのような価値観を生み出すために科学技術がもっともっと活躍したらいい。エコグッズにも科学技術がたくさん使われている。その凄さや技をもっと伝えて科学の素晴らしさも伝えていけば、科学に関心を持つ人も増えるであろう。
 人々はつながりが見えていたら安心する。孤独を感じる瞬間は誰にだってある。科学技術がその孤独感を満たす助けになる。これらのことが実現したら近くの人たちと香りでつながりを実感し、私たちの存在の深さや歴史とのつながりを知り、遠くの人と情報手段でつながり、世界中の人と知り合いでいられるのではないか。つながりを意識することはつい忘れがちである。でもそのつながりをしっかり見つめながら生きていくことが人々の希望になると思う。科学技術が人と人や自然、歴史とのつながりを分かりやすく示し、今私たちがこうして生きていることにいつも感謝できるようなそんな毎日があったらいいと思う。