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2007年(第9回)

【特別賞】
「科学技術論文コンクールから科学技術苦情コンクールへ」
上智大学 理工学部 機械工学科 3年
中村 恭子
中村 恭子

1.はじめに
 エレベーター事故、トイレの発火、扇風機や暖房機の事故など、日常私たちが使用する機械に関しての不備やそれにともなう事故が多発している。事故の形式は様々で、原因はひとつではないが、考えられる主な原因を以下にあげる。
(1)機械の点検の怠り
(2)機会の設計上の問題
(3)使用する人の注意
(4)人々の機械に対する意識
上記の(1)~(3)は一般的に取り上げられている問題だが、(4)に関してはあまり取り上げられていない。本文は、この「(4)人々の機械に対する意識」を中心に事故の問題点と解決法を述べていこうと思う。

2.ご近所にはコワイ機械
 普段私たちは危険を伴う「自動機械」というものを当たり前のように使用している。電車が動いても驚かない、エスカレーターや歩く歩道が人を運んでいてもおかしくない。機械というものを毎日見ているにもかかわらず、事故を見ることは一生で何回かであろう。機械設備は存在して当たり前だが事故はなくて当たり前の世界である。
 なぜこのような一歩間違えれば死に至る自動設備と人々は共存できるのであるか。私は小さい頃「勝手に動くのこれ怖い」と思ったものだ。だが当たり前のように利用している大人たち見て「これは動くものなのだ」と思い始めてきた。その「これは動くものなのだ」 という慣れが怖い。実際事故の被害者は大人ではなく子供の方が多い。1)2)子供は「 この機械の構造がどうだからこういう事をしたら危ないな」とは考えないであろう。ただ大人に「危ないからだめよ」といわれてやらないだけであって、それらが一歩間違えれば死に至るものだとは思わない。要するに機械に対する怖さ、意識というのが薄いのである。しかしこの問題は大人だって例外ではない。ちょっと注意すれば防げた事故もある。3)高齢者の事故も多発しており、機械の怖さを子供に教えるべき親自身の意識が薄れているということもある。4)普段無意識に使っているものだからこそ油断が出来る。これが事故を起こす原因のひとつになっているのではないだろうか。

3.そんなもの想定できない!!
 一方でその自動機械の設計者の視点を考えてみよう。よく事故を起こした機械の設計・点検者は「今回の事故は理解できない。日常的に利用するエレベーターの設計基準・点検基準は厳しいもので、このようなトラブルが起こることは考えていなかった」3)など「想定してなかった」という回答を良く聞く。しかし「想定してなかった」ことが想定されなかったために事故は起きているのだ。
 なぜ想定が出来ないのであろうか。そもそも一体その人たちが想定するものはどんなものであろうかと考えた結果「 普通に考えたら想定できないものではないか」 が浮かんできた。
 一例をあげよう。私の通う大学では上階に大きな講堂や教室があることがある。よって休み時間はエレベーターが大変混雑する。たいていのエレベーターは「開」のボタンを押さなくてもドアが閉まるまで少しの間があるが、大量の人数が大量に同じ階で降りていく場合はその間が短く学生たちが降りている途中でドアが閉まることがある。誰かが押していてくれているときは良いのだがそうでないときは誰かがドアに挟まれ、あわててボタンを押すことがある。私もはさまれたことがあり、大変痛い思いをした。極端にその「間」が短いエレベーターならなおさらそれが起こりやすい。
 しかしこの事態を想定するのにまず「学生の人数が多い、上階に大きな教室がありその教室はよく使用される、その教室を利用する学生は前の時間に授業をとっていることが多い、学生は定員オーバーのブザーがなるまで大量に乗る。」 などを考えなくてはならない。
一体設計者はこの事実をどこまで把握できるであろうか。よほど意識して情熱をかけなくてはならない。 
 私の大学の先生で、30年間企業で設計をしていた方が、こうおっしゃっていた。「設計の現場では忙しさなどで、自分が設計して、出来たものを目にする機会が無い事がしばしばある。事故の話を聞いた時、ふとそんな状況を思い浮かべてしまった。」4)
 たしかに設計者は自分が設計したものがどう日常に使われているかをじっくり観察する機会がないのかもしれない。そんな状況が思わぬ事態を起こしているのではないであろうか。

4.過去にも○○件発生していたことが明らかになった。
 ニュースや新聞でこのような言葉をよくみかけることがある。5)なぜいままでそれが発生していたにもかかわらず今回の事件でそれが明るみに出たのかと思う。1件でも発生した時点で注意を促せば他の何百件と防げたかもしれないのに、なぜ大々的に報道されなかったのであろうか。私はそれを報道する機会がなかったり、隠蔽したり、普段多人数が見ない報道場所で報道されているのが原因ではないかと思う。注意を促すHPが出来てもそれを見る人が少なければ意味がない。

5.論文コンクールからクレームコンクールへ
 ここまでは日本の現状と問題を述べてきた。以下これらの解決法を述べていく。

5.1 問題点のまとめ
上記のような問題点をまとめると以下のようになる。
(1)利用者の機械設備の危険さにたいする意識が欠けてきている(特に子供)。
(2)設計者の想定範囲外がおこり、それが事故の原因となっている。
(3)設計者の設計に対する意識。
(4)事故がなかなか国民に知れ渡らない。

これらを解決するには、「全国クレーム攻略本」を発行するしかないのではないかと私は主張する。

5.2 クレーム攻略本とは?
本の題名はなんでも良いがとりあえず仮称とする。この本には以下の条件がある。
1.月に1回以上発行をする。
2.グループは業者、子供、利用者の3グループとする。
3.各グループに対する機械に対しての苦情、主張、注意、思いなどを載せる。
4.次号は前の月の本に対する各グループの読者から反応を組み込む。
5.これを教科書とし、各学校、企業に配布し、これを扱った授業プログラムを組み込む。
6.応募は誰でも可能

1.は対策が遅れてしまわないため、2.はグループ分けをすることによってより誰からの主張かというのが明確になり、お互いの意識が高まるのではないかと考えた。4.は前回の各グループの主張に対し、反論、同意、対策などを言えるようにするため組み込んだ。

5.3 攻略本の効用
たとえば利用者が「ここのエレベーターはこういうところが危ないので対策をとってほしい」と主張した。すると業者がなるほどとより利用者の視点に近づけることが出来る。これは(2)の解決法につながる。また「こういう事故が最近起きたのでみなさん気をつけてください。」と攻略本で広報すればみんなが意識するようになる。設計者も身を引き締めるであろう。これは(1)と(3)、(4)の解決につながる。逆に業者側が「この機械はこう危ないから幼児の手の届かないところにおいてください」や「今この商品に不備があり回収をしています」など利用者に知ってもらいたいことを述べる。自社のHPで主張してもなかなか利用者に知れ渡らないものも全国にひろまる。(1)の対策につながるであろう。最後にこの本を教科書にし、その本をもとに学校で事故についてのディスカッションや感想文を書く教育プログラムを作れば、子供たちの間でも機械の怖さと機械に対する意識が浸透するであろうし、自分の考えを応募する楽しみも増える。これは(1)の子供への解決法につながる。

6. 美しい機械
 事実事故を契機に「意識の変化があった」人は56%というデータがある。3)人々が事故を知ることで意識が高まることは事実である。具体的な対策でトップが「メーカーを気にする」というものがあった。これは事故対策をより研究している企業が利益を得ることにつながるであろう。
 機械は人々の生活を豊かにし、便利にし、人々と共存できる美しいものである。その夢があるもので人間を傷つけたり命を奪いたくはない。

 

 


【参考文献】
1) http://www.zenbunkyo.jp/
2) http://72.14.235.104/search?q=cache:sWgwEpGXYQAJ:www.yomiuri.co.jp/komachi/news/
3) http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/research/14/
4) http://www.me.sophia.ac.jp/~hamade/Door2.htm
5) http://www.geocities.jp/sn_asp/aspnews166.html#02/